はい、久々の本の感想です。最近はすっかり書くことに忙しくて読む時間がなかったのですが頑張って読みました。最高でした!

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統合失調症になった著者が病気の発症と経過を克明に綴った闘病記録です。ご存じのように統合失調症は精神病です。


統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、という特徴を併せもっています。

統合失調症


ニュースでよく取り上げられる凶悪事件。犯人には精神科への通院歴があり、警察は精神鑑定の結果を待って云々というあれです。



著者は殺人こそしませんが民家のガラスを割ったり人々に理解不能の妄想を投げ掛けて恐怖や不穏を与えたりします。この本では、なぜ著者がそのような行動をとったのかが事細かに書かれています。

当時の社会情勢や私生活がどのようなもので、それが著者にどんな影響を与えたのか。それを書き記すことで健常者には理解できない言動の理由が明らかになります。


誰もがなる病気

妄想や幻聴がひっきりなしに頭を支配して、混沌と清廉が交互に現れては消えていく状態で著書の自意識は膨張し、凡人の範疇を超えた精神不安に直面します。その変化が文章から伝わりまくって、どうしようという気持ちになります。

あれ、これヤバイ人の考えじゃん!と思いつつも、そこにたどり着くまでの遷移は誰にでも起こりえるほど自然。本書は精神障害が日常に潜む病であることの証明です。著書はそのことをこの本で僕らに伝えているのです。

↓僕もITベンチャーで人生が崩壊しかけましたから。

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なんていうか読んでみたらわかるのですが、社会の寛容さや法律の有無でどうにかなるようなものではない、ということがよくわかります。確かに度重なる法改正で精神障害者の生活は向上しています。


現代は精神障害を無視できない時代

でも一度発症すると再発する、そしてその度に数ヵ月の入院を余儀なくされるという病症の負担が大きすぎます。予防ができない、服薬やカウンセリングなどの対処療法でしか改善が期待できないという病気の性質そのものが、この病気に対する認識の歪みや偏見を生んでいます。一度なったら終わり、というものです。実際は回復することの方が多いようですけど。

というわけで誰も語ることのなかった精神障害当事者の考えを知るにはもってこいの一冊です。この本で得た知識を北日本文学賞にぶっこみますよ!