安定の恒川光太郎です。妻がこの人の作品が好きで勧められて何冊か読んでます。

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今回はファンタジー。毎回ファンタジーといえばファンタジーなんですが今回は剣やヨーロッパらしさが感じられるお話です。


自暴自棄になり砂浜を歩いていた佐伯逸輝は、奇妙な男に出会いクジを引く……。いつのまにか見知らぬ地に立ち、10の願いを叶えられるスターボードという板を手渡された。広大な異世界を舞台に描くファンタジー。


前作「スタープレイヤー」がサブタイトルとして付けられているので続編?前の読んでないんだけど、と思って妻に確認すると前作を読んでなくてもいけるとのこと。ちょうど読むものがなかったので読みました。最高です。



前作のPVがありますのでどうぞ。

この人の特徴は余韻です。読み終えたあとの余韻。文学的表現や細部の描写はありません。言葉選びのセンスやその描写で来たか!という文芸寄りの捻ったことは一切しません。シンプルで誰が読んでも理解できる文体です。傾向としてストーリー重視の物語が多いですね。今作もその運びのうまさは健在です。しかもスケールがでかい!

人種を越えた争いや友情など、これまでの作品とは違う視点で描かれる世界は圧巻です。終盤で明らかになる展開は驚くこと間違いなしです。そうきたか!って久々に思いました。これは読んで損のない作品です。

仕組まれた展開に読者が気づくまでに時間がかかるんですが、そこがいい!この人はデビュー作の夜市もそうでしたが作品によっては驚く展開を用意しているんです。今回はそれがすごいです。

主人公に与えられた10願いの使いどころがきちんと話の流れに反映されてて面白いです。主人公は現在と未来をちゃんと考えた願いの使い方をするんですが、それが結果的に不幸を招く、みたいな展開が超好みです。

ヘブンメイカー スタープレイヤー (2)
恒川 光太郎
KADOKAWA/角川書店
2015-12-02



あまり注目される作家ではありませんが、一作ごとにしっかりしてて読み物として外れがありません。読んだことがないならデビュー作の「夜市」を読んでみるといいですよ。

夜市 角川ホラー文庫
恒川 光太郎
KADOKAWA / 角川書店
2012-10-01