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田代まさしと言えば元コメディアンで元歌唱グループのメンバー。覚醒剤を使って逮捕されたり盗撮を疑われたりしてるので知らない人はいないはず。そんな彼が芸能界デビューから覚醒剤との出会い、刑務所生活や出所後の暮らしを綴った一冊。マンガなので読みやすい。




覚醒剤を始めた理由が当時の生活を交えて語られる。一言で言えば仕事のプレッシャーに耐えられずに手を出したらしい。真面目な性格のため、周囲の期待に応えなくてはいけないという思いがあったと振り返る。

芸能界の厳しさはテレビを見てればよくわかる。歌手やお笑いやアイドルには旬がある。そういえばあの人出てないね?あ、消えたねー!なんてやり取りは珍しくない。だから志村けんと共演して有名人になればなるほど、その地位からの転落が怖くなる。お金が貰えるから引退なんて考えられない。みたいな。この前政治家に転向した嶋大輔が政界進出を諦め芸能界に戻った話しを見た。おいしい場所なんだと思う。

そうはいっても、刑務所に入った人間を易々と使ってくれるほどテレビは優しくない。彼は活躍の場をネットに移した。ネット放送に出演するようになり、徐々に芸能界復帰の可能性が見えてくる。ところがまたしても逮捕。再び遠のく芸能界。あぁ。残念!

芸能会デビューから逮捕と出所を繰り返し、最後は薬物からの立ち直りを支援する団体に入り再起を誓う、という内容。彼なりの薬物依存者に対する刑罰の矛盾や立ち直りに必要な支援方法が語られる。その辺は読んでみると参考になる。薬物依存者には罰ではなく治療が必要だという考えは当事者にしか言えないことだと思う。あとは刑務所での暮らし。コメディアン目線での刑務所暮らしはつまらないけど、人間観察にはもってこいの場所だったようでそこで出会った人々や出来事を面白く描いている。

読み終えると田代まさしを応援したくなる不思議な一冊。だけど意図的に端折っている箇所があり、栄光と転落を網羅してるわけではない(例えば交通事故で学生に怪我をさせたこと。薬物とは直接関係ないから飛ばしたのかも?)。また、ここに書かれている彼の思いは本心なのか、とか。

審判
田代 まさし
創出版
2009-05-13


もう一冊彼が出した本があるけど、こっちに書かれていることとの相違点がある気がする。こっちは読んでないのでなんとも言えないけど。