野ブタ。をプロデュースが面白かったので読んだ。
あらすじ。

寺の息子である主人公の前に現れたのは亡くなったはずの女子大生。
自分以外の人には見えないけど、彼には彼女がはっきりと見えて会話ができて、まるでそこに生きた人間がいるかのように感じられた。ひょんなことから二人の同居生活がはじまり、戸惑いながらも次第に彼女にこころ惹かれていく。

ラブストーリーなんだけどあまりラブは感じられなくて、
どちらかというと二人のやりとりを通じて主人公が自分の生き方を見つけ出す、という話し。
なんで亡くなった人が見えるのか、なんで彼女は彼の前に現れたのか。
そんな疑問の答えは最後まで明かされず、淡々と物語は進む。

いつかは消えてしまうんだろう、というのが読み始めたときに予想できて、
驚きの展開やそういうことか!みたいな発見がなくて物足りない気はした。
野ブタのときのような展開の面白さが印象的な作品とは正反対の静かな物語。
相手に自分らしさを押し付けない控えめな主人公が、
少しだけ相手に内面をさらけ出す強さを手に入れていく、その過程を描きだす。

読後感はさわやか。だけどそこにたどり着くまでが平坦で、
もっと掘り下げてほしいところがスコーンと抜けてるなと思った。
人間関係があっさりしすぎててつまらなく感じる場面がちょくちょくあったけど、
そこをどう判断するかで評価がわかれる作品。