あらすじに惹かれて買った。

バレー部のキャプテン・桐島の突然の退部が、5人の高校生達に波紋を起こして……。

という響かない人にはまったくもってスルーされるであろうストーリー。
田舎の高校とか、青春群像とかが好きな自分はふむふむどれどれ、という感じで手に取った。
amazonでの評価が低くて意外な気がしたんだけど、そんなにつまらなくはない。

青春ものって友達とか恋とか夢とか進学とか将来とか、家族のこととか大体ネタは決まってて、
それをどう表現するかというところで名作かそうでないかが決まる。
読んでるこちらが恥ずかしくなるようではやりすぎだし、
なんだそれ!そんなわけねーよ!だと嘘っぽい。
無難な「あー、あるある。わかるそれ」を狙わないと青春ものとして評価されないという難しさがあると思う。

この作品はというとステレオタイプな高校生活がありつつも、
気温とか服装とか景色の描写が巧みだ。
明け方の静けさや青すぎる空の色とか。
そういったものが作中でちょこちょこ描かれていて、
気づけば頭の中であの頃の景色が再生されてる。
会話や人物描写ではなく、空気感であの頃を思い出させてくれる。
誰かと似ていて、誰とも似ていないあなたの高校時代がそこにはある。

少しだけ内容に触れよう。
この作品はいくつかのエピソードがオムニバス形式で書かれていて、
それぞれに面白さがあるのだけど、個人的にはソフトボール部の女の子の話しは忘れられない。
母親と二人暮らしの彼女は、ある過去を忘れられずに生きてる。
そのせいで自分が自分の人生を生ききれていないことが伝わってくる。
彼女の過去については是非、作品を読んで欲しい。
最後の最後で一歩前に進み、未来を見つめることを決めた彼女の決意に少女の成長を見たきがした。
このエピソードについては、よくできた話しだなと思ってすげー、としか言えない。
読む価値はあり。