どこをどう読んでもライトノベル。
10年ほど前の作品なので、
当時はライトノベルという言葉が一般的ではなかったし、
このような文体が大きな話題になっても不思議ではなかったと思う。
でも、今の時代だとどこをどう読んでもライトノベル。
たぶんライトノベルの原型なんじゃないかな。
と、偉そうなこと言いながらライトノベルは一冊も最後まで読んだことがない(乙一とか西尾維新は途中まで)。

世間的にはライトノベルではなく純文学に分類される作品らしい。
文学の定義はわからないけど、
自分の中での文学のイメージとはかけ離れていることは確か。
この作品に限った話でいえば、

・女子高生が主人公
・2ちゃんねるを彷彿とさせるネット文化
・不思議な力をもつ謎の男

ってキーワードがでてくる時点で文学?ってなってしまう。
さらに時間軸まででてきた日にはライトノベルは全部テンプレかよ!と言いたくなるが、
幸いこの作品にはお約束の時間軸は出てこない。
現代文学っていっても違和感がないのは村上春樹かなー。
最近読んだのだと川上未映子はそれっぽい。

口語文で書かれてるので「読める人」を選ぶ作品。
「ちょーだりー、あーもう。やだねー」
みたいな文を何度も読めるかどうか。
最後まで読めた自分は偉い!

評価するところはミステリーを含んだ描写と主人公の内面を表す独特の世界を過不足なく文章可している点。
この2点は著者の力量があればこそって感じ。
とはいえ、
サブカル好きの人間がこれこそが俺らの時代の文学だ!!って熱く語り始めるにはもってこいの時代性はありつつも、
普遍性は持ち合わせておらず、一部の年代にしか響かないだろうことは明らか。
一方で、文学に傾倒する人は総じて常に「新しい文学」というのを探しているので、
その側面から言えば二重丸の出来。
こんな展開、こんな文体、こんなのあり?って反応が容易に想像できる。
ライトノベルと文学の交差点に位置する作品。